✍️ 司法書士が解説!「遺言書」作成のススメと2つの方式の違い
この記事は、あなたの未来の安心を守る「遺言書」について、司法書士が分かりやすく解説します。
1. 遺言書を作成する4つの大きなメリット
「遺言書」というと、財産家が作るもの、亡くなる直前に作るもの、というイメージがあるかもしれません。しかし、遺言書は残されたご家族の負担とトラブルを防ぐための、誰にとっても大切な「思いやり」の文書です。
遺言書を作成することで得られる主なメリットは、次の4点です。
1.【「争い」の予防】ご家族の相続トラブルを未然に防げる
遺言書がない場合、亡くなった方(被相続人)の財産を誰がどれだけ受け取るかは、相続人全員での話し合い(遺産分割協議)で決めなければなりません。仲の良いご家族であっても、この話し合いがきっかけで感情的な対立が生まれ、**深刻な「争族」**に発展してしまうケースは少なくありません。
遺言書があれば、あなたの意思で財産の分け方を明確に指定できるため、ご家族は話し合いの必要がなくなり、トラブルを未然に防ぐことができます。
2.【「手続き」の簡素化】残されたご家族の手続き負担を大幅に減らせる
遺言書がないと、銀行口座の解約や不動産の名義変更(相続登記)などの手続きを行う際、相続人全員の署名・実印や、全員分の印鑑証明書が必要になります。
遺言書があれば、基本的に指定された方(または遺言執行者)のみで手続きを進められるため、必要な書類が減り、ご家族(特に遠方に住むご親族)の手続きの負担を大幅に軽減できます。
3.【「感謝の気持ち」を伝えられる】特定の相手に財産を遺せる
法律で定められた相続人以外の方(例えば、お世話になったご友人、内縁の配偶者、お孫さんなど)に財産を遺したい場合、遺言書がなければその意思を実現できません。
遺言書を作成することで、あなたの感謝の気持ちやメッセージと共に、あなたの財産を特定の相手に託すことができます。
4.【「事業や祭祀の承継」を明確に】円滑な引き継ぎができる
個人事業や農業などをされている場合、後継者に事業用の財産を集中して遺すことで、事業の円滑な承継が可能になります。また、先祖代々の墓や仏壇(祭祀財産)の管理を誰に託すか(祭祀承継者)を明確に指定することもできます。
2. 「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の違い
遺言書にはいくつかの種類がありますが、一般的に利用されるのは「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2つです。それぞれにメリットとデメリットがありますので、ご自身に合った方式を選びましょう。
| 項目 | 🖋️ 自筆証書遺言 | 📄 公正証書遺言 |
| 作成方法 | 遺言者が全文、日付、氏名を自筆し、押印する。 | 遺言者が公証役場に出向き、公証人が作成する。証人2名以上の立ち会いが必要。 |
| 費用 | 財産目録を除き、すべて自筆で作成する場合はほぼ費用はかからない。(法務局の遺言書保管制度を利用する場合は手数料が必要) | 公証役場に法律で定められた手数料(財産額に応じる)を支払う必要がある。 |
| 原本の保管 | 原則として自分で保管する。(法務局の保管制度を利用することもできる) | 公証役場で原本を半永久的に保管してくれる。 |
| メリット | 費用がかからない。思い立ったときに一人でいつでも作成できる。 | 形式不備による無効のリスクが極めて低い。原本が公証役場に保管されるため、紛失や偽造の心配がない。 |
| デメリット | 方式を間違えると無効になるリスクがある。紛失・隠匿・改ざんの危険がある。 | 費用がかかる。証人2名の準備が必要。公証役場に行く必要がある。 |
| 相続発生後の手続き | 法務局で保管していない場合は、家庭裁判所での「検認」という手続きが必要となる。(手間と時間がかかる) | 検認の手続きは不要。すぐに遺言の内容を実現するための手続きに進める。 |
どちらを選ぶべき?
- 費用をかけずに、手軽に作成したい方→ 自筆証書遺言【注意】 形式不備で無効になることを防ぐため、司法書士などの専門家に相談して内容をチェックしてもらうことを強くお勧めします。※民法によって形式が厳格に定められており、形式を満たしていない遺言書は法律的には無効になってしまいます。
- 間違いのない、確実な遺言を残したい方→ 公正証書遺言【推奨】 費用はかかりますが、安心・確実性が最も高く、残されたご家族の手続き負担も軽いため、司法書士としてはこちらの方式をお勧めします。
ご自身やご家族の状況に合わせて、遺言書作成をご検討されることをお勧めいたします。
遺言書の作成について、さらに詳しく知りたい点や、具体的な作成のサポートが必要な場合は、いつでもお気軽にご相談ください。
【次のステップ】
お客様の具体的なご事情に基づき、どちらの遺言方式が最適か、またどのような内容を盛り込むべきか、無料の個別相談をご希望の場合はご連絡ください!
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