A. 認知症などで判断能力が十分でない相続人がいる場合、そのままでは遺産分割協議を行えません。家庭裁判所で「成年後見人」を選任してもらい、後見人が代わりに協議に参加する必要があります。
1. 法律の説明(判断能力と遺産分割協議のルール)
不動産や預貯金などの遺産を分けるには、相続人全員で「遺産分割協議」を行い、全員が合意して協議書に署名・押印をする必要があります。※正確には、協議自体は合意のみで成立しますが、実際上、登記申請や預貯金の解約等をする場合には署名・押印のある遺産分割協議書が必要になります。
しかし、意思能力(判断能力)が低下している状態で行った遺産分割協議は、法律上「無効」となってしまいます。そのため、判断能力が十分でない方に代わって法的な判断を行う「成年後見人(せいねんこうけんにん)」を家庭裁判所に選任してもらい、その後見人が遺産分割協議に参加するルールになっています。
遺産分割協議をする目的で成年後見人の選任申立てをする場合、他の相続人を成年後見人とすると、双方の利益が衝突するため、さらに特別代理人の選任が必要になることがありますのでご注意ください(後見監督人がいない場合)。
※2024年4月からの「相続登記の義務化」により、相続を知ってから3年以内に登記申請をする必要がありますが、成年後見人の選任申立てなど適切な手続きを進めていれば過料の対象にはなりません。
2. 「手続きが進まない…」不安の解消
「家族だけで話し合ってハンコを押せばいいのでは?」「後見人を立てると大掛かりで難しそう…」と不安を感じる方も多くいらっしゃいます。
ですが、不完全な状態で手続きを無理に進めてしまうと、後から「協議が無効だ」と主張されたり、名義変更の登記申請が法務局で却下されたりして、余計に事態が複雑化してしまいます。
家庭裁判所への「成年後見開始の申立て」は提出書類が多く(私の経験ですとA4用紙60枚~70枚程度)専門的な手続きですが、適切な順序で進めれば必ず出口は見えてきます。焦らずに正しいステップを踏むことが、結果として大切なご家族の権利と財産を守る一番の近道です。
3. 東三河地域ならではの「高齢化と相続」の実情
新城市・設楽町・東栄町・豊根村といった奥三河地域から、豊川市・豊橋市・蒲郡市・田原市などの市街地・沿岸部まで、東三河全域で高齢化が進んでいます。
「実家を守ってきた親族が認知症になってしまった」「介護施設に入所している家族がいて遺産分割協議が進まない」「遠方の親族と連絡は取れるが判断能力に不安がある」といったご相談は、当地域でも非常に増えています。地元の事情や家族構成に配慮した丁寧な対応が求められる分野です。
4. 誰に相談すればいい?専門家の役割
成年後見制度の利用手続きから不動産の名義変更まで、一貫してサポートできるのが「司法書士」です。
- 司法書士だからできること(当事務所のサポート) 家庭裁判所に提出する「成年後見開始の申立書」の作成や必要書類(戸籍等)の収集・整理を行います。また、後見人が選任された後の遺産分割協議書の作成や、最終的な不動産の名義変更(相続登記)までワンストップでお手伝いいたします。適切な成年後見人候補者がいないなどの状況によっては、司法書士自身が成年後見人等に選任されてサポートを行うことも可能です。
- 他の専門家にも相談した方がよいケース
- 弁護士へ: 成年後見人の選任や遺産分割をめぐり、親族間で激しい意見の対立や感情的な争いがある場合
- 税理士へ: 成年後見制度を利用した上で遺産分割を行う際、相続税の申告や特例適用(小規模宅地等の特例など)の検討が必要な場合
5. 認知症の相続人がいてお困りなら、早めにご相談ください
相続人に認知症の方がいる場合、手続きには家庭裁判所を介するため、ご相談から成年後見人の選任まである程度の期間(2ヶ月程度、場合によってはそれ以上)が必要となります。相続登記の義務化期間にも配慮しながら、スムーズに手続きを進めることが大切です。
「うちの場合はどう進めればいい?」「後見制度を使うべきか判断がつかない」という段階でも構いません。東三河地域に根ざした当事務所へ、まずはお気軽にご相談ください。
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